Insight SIP社の『マイコン開発キット』でLEDを点滅させよう(前編)

ISP1507-ALとは、どんなもの?

Insight SIP社のISP1507-ALは、Bluetooth 5ANT+に対応した組込み用マイコンです。

Bluetooth 5/ANT+用のアンテナは、チップの内部でクローズしているため、別途パターン等でアンテナを伸ばす必要がありません。また、チップ単体での技適を取っていますので、各種手続きが大幅に減るメリットがあります。さらに、チップの中身はNordicSemiconductor社製のnRF52810が使われており、NordicSemiconductor社から提供されている豊富な各種資料をもとに、HW開発・SW開発ができるメリットがあります。

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実験に必要なものを揃えよう

今回は、このマイコンの開発キット

( https://www.insightsip.com/shop-online/product/53-isp1507-al-eb )とブレッドボードを使って、LED点滅を試してみました。

 
【 必要なもの 】

Windows搭載のパソコン(Windows7以降)

・先に紹介した開発キット
 (
開発ボード / ターゲットボード / フラットケーブル3)

USB-MiniUSBのケーブル1

LED4(Vf=2.2V程度のもの)

100220Ω 1/4W抵抗を4

・その他ブレッドボード1

・配線材類

まずは、このURL( https://www.segger.com/downloads/embedded-studio )にある「Embedded Studio for ARM, Windows, 64-bit (32bitOSの場合は末尾が「32-bit」のもの)」をダウンロードし、Windowsコンピュータにインストールします。

 

次に、NordicSemiconductor社から配布されているnRF5x SDK(Sofuware Development Kit)を、このURLからダウンロードします( https://developer.nordicsemi.com/nRF5_SDK/nRF5_SDK_v15.x.x/ )。最新版は「nRF5_SDK_15.3.0_59ac345.zip」ですので、これをダウンロードし、ローカルドライブの直下に展開しておきます。あとで、この中にあるLED点灯のコードを使います。

ハードウェアとLEDの準備をしよう

さて、今度はハードウェアの準備をします。開発キットの説明書( https://www.insightsip.com/fichiers_insightsip/pdf/ble/ISP1507/isp_ble_AN181103.pdf )Page9の図のように、ターゲット(ISP1507-AL-TB)と開発ボード(ISP130603E)を接続します。

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次に、LEDの準備です。LEDP0.15P0.184つ接続します。電流制限用の抵抗値は220Ωとしました。マイコンの電源は3.3Vで動くため、LEDVf=2.2V程度の比較的電圧の低いものを用意します。P0.15P0.18のポートは、開発キットの開発ボード(ISP130603E)からアクセスできます。開発ボードの該当するピン番号とGNDの間に、LEDと抵抗をはさみました。回路図は以下のとおりです。

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なお、接続は慎重に正しく行いましょう。特に、各ポートの出力とVcc/GNDは絶対に直結しないように気をつけましょう(直結した瞬間にマイコンが壊れます)

開発環境をセットアップしよう

次は、開発環境のセットアップに入ります。Windowsのメニューから「SEGGER Embedded Studio for ARM x.xx」を選択して、SEGGER Embedded Studio for ARMを起動します。

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起動したら、まずサンプルのプログラムを読み込みましょう。
メニューから「File」→「Open Solution」を選び、「C:\nRF5_SDK_15.3.0_59ac345\examples\peripheral\blinky\pca10040e\blank\ses」へ移動した後、「blinky_pca10040e.emProject」を選択します。この、プログラムは4つのLEDを順番に点灯・消灯するプログラムになっています。

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このままでは、ISP1507では使うことができないため、LEDのポート番号を定義している箇所を変えましょう。「C:\nRF5_SDK_15.3.0_59ac345\components\boards」にある「pca10040.h」を開きます。50行付近に「LEDS_START」という箇所がありますので、そこから6行分を下図のように変更します。

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この状態で、ビルドを行います。

ビルドはファイルメニューから「Build」→「Rebuild blinky_pca10040e」を選択します(Alt+F7キーでも良いです)。ビルドを行うと、以下のようにライセンスの登録を求めてきます。

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nRF52810のコアにはNordicSemiconductor社製のチップが内蔵されていますが、NordicSemiconductor社製のチップを使う場合は、SEGGER Embedded Studio for ARMを無制限で使うことができます。登録にはメールアドレスがあれば良いです。

             ここまでが前半です。
     さあ、後半はライセンスを認証して動作させてみましょう。